ごあいさつ

私は高校生の頃、自分の将来について明確な目標を持てずにいました。

誰かの役に立てればという漠然とした思いから医師を志し、東北大学の医学部を受験したところ幸いにして合格したのですが、高校の卒業式を終えて新生活の準備を進めていたさなか、東日本大震災が起きました。

地震や津波による甚大な被害を目の当たりにするうち、「未曽有の危機に瀕したとき、人々に手を差し伸べられるのは医師ではなく、行政や政治ではないか?」との疑念が生じました。

この疑念は大学に入ってからも晴れることなく、頭の中に居座り続けました。

思い悩んだ末、私は大学を中途退学し、いわき市役所に勤める道を選びました。

医師として医療を提供することは重要ですが、人々の暮らしを支えていく上では、市役所の職員として行政に参画することの方がより重要ではないかと、震災を通して感じたからです。

市役所では高齢者福祉などに携わりましたが、その中で私は住民の声に耳を傾けることの重要性を痛感すると共に、住民の声を行政に届ける役割を担う政治もまた、まちづくりに不可欠な要素であると学びました。

今後、少子高齢化と人口減少の進行によって、社会の在り方は大きく変容していきます。

この数年にいわき市が見舞われた水害やコロナ禍とはまた異なる形の、これまでに経験したことのない困難な局面が目と鼻の先に待ち受けています。

行政だけでは解決しようのない事態が差し迫る中、多様な意見を取り入れて課題の解決を図る政治は、これまで以上に大きな役割を果たさなければなりません。

そこで今必要とされているのは、より幅広い世代の声を拾い上げるため、旧来の政治に新しい風を吹き込ませることではないでしょうか。

そう考えるに至った私は、市役所を退職した上で、こうした活動をしています。

皆様の声に耳を傾けながら、いわき市がさらに暮らしやすいまちとなるよう努めていきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

2024年4月 小野 こうき