5番、いわき市議会フォーラムいわき、小野光貴です。
まずは内田市長、2期目の当選おめでとうございます。
私自身、新たな会派を結成するという変化もございまして、改めて、皆様と議論を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以下、通告順に従いまして、一般質問を行います。
【1】
大項目の一つ目は、財政についてです。
社会情勢の変化によって、地方自治体の財政運営が厳しさを増している中では、財政の健全化をより一層図っていかなければならないのと同時に、限られた資源を必要な施策へ振り向ける必要があるというジレンマに直面せざるを得ませんが、こうした状況を踏まえた上で、個別の質問に入らさせていただきます。
【1⑴】
中項目の一つ目は、事業所税についてです。
【1⑴ア】
まず初めに、一つ目として、事業所税の概要について伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
事業所税は、都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるため、都市の行政サービスと所在する事業所等との受益関係に着目して、事業所等において事業を行う者に対して課する目的税となります。なお、事業所税は、事業所等の床面積を対象とする「資産割」と、従業者の給与総額を対象とする「従業者割」によって構成されています。
一定の規模を有する都市において、その環境整備に要する財源を確保するため、事業所等に課される税であるということでした。
市民生活の基盤となるインフラの維持管理などに充てることを目的としているわけですから、すなわちこれは市長の公約である公共事業費の増額と結びつきの深い税であるということになります。
【1⑴イ】
では次に、二つ目として、事業所税の過去3か年における歳入決算額について伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
過去3か年の事業所税の現年度課税分と滞納繰越分を合わせた収入済額を1,000万円単位で申し上げますと、令和4年度は約24億円、5年度は約24億7,000万円、6年度は約24億6,000万円となっております。
かなりの規模で収入があるということで、次年度以降、公共事業をさらに推し進めようとの方針を示している本市にとって貴重な財源であると、改めて感じました。
しかしながら、この事業所税というのは、その性質上、一定の規模を有する都市でなければ事業所等に課税することができないものですから、人口減少が急速に進行する中で、事業所税を課せるだけの都市規模を本市が今後も保ち続けられるのだろうかという懸念が生じるところです。
【1⑴ウ】
そこで次に、三つ目として、事業所税の課税団体の要件について伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
事業所税における課税団体の要件は、地方税法に規定されております東京都特別区、政令指定都市、首都圏整備法に規定する既成市街地を有する市、近畿圏整備法に規定する既成都市区域を有する市、又は官報で公示された最近の国勢調査の結果による人口若しくは最近の1月1日現在において住民基本台帳法に基づき住民基本台帳に記録されている者の数が30万以上の市のうち、政令で指定する市となっております。本市は、今申し上げた人口に関する要件に該当することから事業所税の課税団体になっているところです。
住民基本台帳と国勢調査結果を踏まえた人口30万人というラインが課税団体の要件においては非常に大きな意味を有しているということでした。
そもそも、今回の一般質問で事業所税を取り上げましたのは、先般、本市における外国人を含む住民基本台帳人口が30万人を下回ったという点が理由として挙げられます。
したがって、今年度まさに実施されている国勢調査の結果による人口が住民基本台帳上の人口と同じく30万人を下回る事態となれば、本市は事業所税の課税団体の要件から外れてしまい、貴重な財源を失うことに繋がるのではないかと懸念されるところです。
しかしながら、本市は、東日本大震災という特殊な要因によりまして、他の市町村から住民票を異動することなく避難されている方が多くいらっしゃることから、国勢調査の結果による人口が住民基本台帳上の人口を大きく上回っているという状況にあります。
そうした現状を鑑みるに、今年度に実施されている国勢調査の結果による人口が30万人を下回ることは可能性として考えにくいものの、現に住民基本台帳上の人口は30万人を下回っているわけですから、事業所税の課税団体の要件から外れる一つ目のラインに引っかかってしまったわけです。
したがって本市は現在、財源の喪失が非常に現実味を帯びたものとして目前に迫っている状況に置かれているわけです。
【1⑴エ】
そこで次に、四つ目として、事業所税の課税団体の要件から外れるのは何年度になると想定しているかについて伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
第2期いわき創生総合戦略における国勢調査の人口トレンドを踏まえた推計では、2030(令和12)年の本市人口を29万2千人と推計しています。そのため、2030(令和12)年実施の国勢調査において、本市人口は、30万人を下回ると見込まれます。従いまして、これまでの例により、当該調査の結果が確定値として翌年の官報で公示される場合、本市は2031(令和13)年度中に事業所税課税団体の要件から外れることも想定されます。
事業所等にも影響が及ぶものでありますから、混乱を招かないような周知の時期や方法などについては、特にご留意くださるようお願いいたします。
【1⑴オ】
では次に、五つ目として、事業所税を課税できなくなることによる財政的な影響をどのように想定しているのかについて伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
先ほども申し上げましたとおり、年間で約24億円の事業所税が減収となります。一方、事業所税は普通交付税の算定において、基準財政収入額に算入されておりますことから、75%が普通交付税で補填されることになります。したがいまして、市の歳入への実質的な影響は、年間で約6億円になるものと見込まれます。また、課税対象となっている事業者におきましては、税負担が軽減されますことから、経営改善や経営基盤の強化につながるという側面もあります。加えて、企業誘致の面では、事業所税の負担が無いことが利点となり、本市を選択していただく上で、一定の効果をもたらすことが期待されます。
地方交付税の措置によって先ほどご答弁いただいた歳入決算額と同規模の金額がそのまま減収になるわけではないということで安心しましたが、それでもなお、かなりの規模で減収が見込まれることは確かです。
こうした現状を踏まえ、次の中項目に移ります。
【1⑵】
中項目の二つ目は、中長期的な財政の見通しについてです。
ここまで述べてきたように、そう遠くない将来には、その目的からして公共事業費の財源として活用されるべき事業所税の課税ができなくなることが想定されます。
また、市長の公約である公共事業費の増額は、市債残高の増加を通して、本市財政に中長期的な影響を及ぼす可能性があります。
私は公共事業費の削減を主張しているのではなく、むしろ、老朽化が進むインフラを計画的に整備していくために、これからの時代における公共事業の重要性は一層高まっていくと考えています。
しかしながら、それはあくまで、将来世代への過度な負担を回避しつつ、持続可能で責任ある財政運営を行うという前提があってこそ、成り立つものであります。
本年度で計画期間を終える市中期財政計画は、5年間を計画期間として策定されていますが、事業所税が課税できなくなる時期がおおむね見通せるようになってきた現在においては、その先を見据えた、より長期的な時間軸に立った財政の検証も、必要ではないかと考えます。
【1⑵ア】
そこでまず、一つ目として、事業所税が課税できなくなることによる歳入減や市長の公約である公共事業費の増額による歳出増などを想定した場合における本市財政への中長期的な影響について検証する必要があると考えますが、市の所見を伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
現在、令和8年度を始期とする次期財政計画の策定を進めております。同計画は、一定の期間を設けながら、本市を取り巻く様々な財政運営上の課題に対し、計画的に対応していくために策定するものであります。策定にあたりましては、今後の人口の推移や少子・高齢化の進行等を踏まえつつ、将来的な財政需要や、市税等の歳入を見通していく必要があります。また、インフレの局面に入り、歳出削減が難しい状況となるなど、社会経済情勢の動きも注視していかなければなりません。加えて、議員からお話のありました事業所税の影響なども含め、近い将来、起こり得る環境の変化も考慮する必要があります。こうした様々な事象について、一つ一つ丁寧に検証を重ねながら、計画期間も含め、将来にわたり持続可能な財政運営を実現する計画をとりまとめてまいります。
【1⑵イ】
では次に、二つ目として、検証を踏まえた中長期的な財政の見通しを作成し、市民に分かりやすい形で公開すべきと考えますが、市の所見を伺います。
(市答弁)
【答弁者:財政部長】
市政に対する理解と協力をいただくうえでも、行政情報を市民の皆様に分かりやすくお伝えすることは重要であると認識しております。現在、予算につきましては、写真やグラフなどを活用し、内容を簡潔にまとめた「予算案の概要」を作成し公開しております。また、昨年度からは、「当初予算見える化ダッシュボード」を作成し、事業ごとの内容や内訳、推移などを、検索しやすい形で公開しております。現在策定中の財政計画におきましても、「伝わる計画」を念頭に置きながら、計画の内容も含め、分かりやすさを重視して、とりまとめてまいります。加えて、出前講座の活用や、広報紙への掲載など、様々な機会を通じて情報発信を行うことで、開かれた財政運営に努めてまいりたいと考えております。
地方自治体における財政というのは、非常に広範な要素が入り組んでいるため、行政の仕組みに深く関わることの少ない市民の皆様からすれば、どうにもとっつきづらいというのが実情ではないかと思います。
本市では昨年度から、当初予算見える化ダッシュボードを公開するなど、財政状況を市民にも分かりやすい形で提示するという取組みを進められており、これは意義深いことだと思います。
自分の住んでいるこのまちが行政の働きによってこれから先どのように変わっていくのだろうかというビジョンを財政状況も含めて市民の皆様と共有できれば、市が推し進めようとする様々な施策に対する理解もこれまで以上に深まるものと考えます。
適切な財政運営を行っていただいた上で、限られた資源を効果的に活用していただくことを改めて要望いたしまして、次の大項目に移りたいと思います。
【2】
大項目の二つ目は、医療についてです。
医療提供体制の強化は本市における喫緊の課題であり、市民の皆様の関心も非常に高い分野でありますから、先般実施されました市長選においても大きな争点となりましたが、それを踏まえまして、個別の質問に入りたいと思います。
【2⑴】
中項目の一つ目は、医療機関の誘致についてです。
市長は、いわき市長選挙立候補予定者公開討論会後の令和7年8月25日に、Xにおいて医療に関する考え方を投稿されていますが、僭越ながらその一部を抜粋して引用させていただきます。
【先日の公開討論(主催:いわき青年会議所)を踏まえ、市民の皆様のご質問にお答えします】
Q:四倉・久之浜など市北部の医療体制を、どのようにお考えでしょうか?
↓答え
A: 北部の医療は大切です。四倉駅前市街地再整備で、いくつか公共施設が空きます。その公共施設の跡地に、病院等の医療施設誘致も、進めたいです。さらに、建設予定の県立大野病院との救急体制強化も進めます。
先般の市長選におきましては、各候補者がネット上の様々なサービスを駆使して戦っており、そこでの発信が市民の皆様における投票行動に少なからず結びついたものと思われます。
【2⑴ア】
そこでまず、一つ目として、市長は自身のSNSにおいて、四倉地区市街地再生整備によって生じる公共施設の跡地に医療機関を誘致したいと発信していますが、その背景について伺います。
(市答弁)
【答弁者:市長】市長就任1期目の4年間、そして先の市長選挙の期間に、多くの市民の皆様から、医療の充実を望む声をいただきました。その中で、四倉地区からは、市街地再生整備によって生じる公共施設跡地に医療や福祉関連施設の誘致を期待する声がありました。このような声を地域のニーズとして重く受け止めるとともに、今後医療機関等の進出の動きをしっかりと捉えながら誘致したいという思いでございます。こうしたことから、本年8月に開催されたいわき青年会議所主催の公開討論会において「四倉地区に医療機関の誘致を進めたい」と発言し、それをSNSでも発信したものです。
本来であれば、ここでより踏み込んでいくつかお尋ねしたいところではございますが、現時点では明確にお答えしづらいとのご意向も伺っておりますので、今回はその点については別の機会に譲りたいと思います。
市長の発信というのは、市の公式見解と必ずしも完全に一致するものではないにせよ、多くの部分で重なるものとして受け止められるべきであると考えております。
したがって、今回の医療機関誘致に関する投稿につきましては、市長という個人としてだけでなく、市という組織としての強い意気込みの表れとして捉えたいと思います。
【2⑴イ】
そこで次に、二つ目として、今後、医療機関の誘致を推進するにあたっての取組みについて伺います。
(市答弁)
【答弁者:保健福祉部長】
医療提供体制の充実を図る上で、医療機関の誘致は重要な取組みの一つと認識しています。本市では、地域医療の重要な担い手である診療所医師を確保するため、診療所の新規開設または承継に対して補助金を交付しています。今年度、補助対象経費の拡大や、承継に係る要件を緩和するなどの見直しを行い、新規2件、承継2件、計4件の補助金を交付予定です。今後も、利用者の意見や他自治体の制度を研究しながら、制度の充実を図り、診療所の開設の促進に取り組んで参ります。
本定例会にも補正予算が提案されております診療所開設・承継支援事業などを通して、医療機関の誘致にあたってご尽力をされていることは、市民の皆様のニーズに即した取組みであると捉えていますが、その一方で、病院のように大規模な医療機関の誘致となりますと、診療所の誘致とはまた異なる課題があるようにも感じております。
ことさら医療分野においては、市が関与できる範囲が限られる部分もございますので、可能な限りのご対応をお願い申し上げまして、次の中項目に移ります。
【2⑵】
中項目の二つ目は、福島県立大野病院についてです。
先ほど引用させていただきました市長のXにおける投稿では、福島県立大野病院との救急医療体制の強化についても触れられておりました。
この大野病院につきましては、先般すでに報道などもなされておりますが、福島県立医科大学の附属病院として、令和11年度以降の再開が見込まれております。
【2⑵ア】
そこでまず、一つ目として、市長は自身のSNSにおいて、福島県立大野病院との救急医療体制強化に言及していますが、その背景について伺います。
(市答弁)
【答弁者:市長】現在休止している県立大野病院については、福島県や県立医科大学において、2029年度以降の開院を目指しているところです。新しい病院が開院すれば、市内の病院と相互に機能を補完し合うことで、双葉郡及び本市、双方の救急医療体制の強化が図られるものと期待できます。こうした点に関しまして、県の関係者とも私も何度か話題にさせていただいております。こういった経緯がありまして、いわき青年会議所主催の公開討論会で言及し、それをSNSでも発信したものです。
大野病院から距離的に近い四倉・久之浜地区の住民の皆様にとっては、新たな医療の選択肢が生まれることにも繋がるかと捉えております。
本来であれば、大野病院に絡めてさらに踏み込んでお尋ねしたいこともあったのですが、当該病院についてはまだ具体的な方針が明らかになっていないということもありますので、具体的な状況が明らかになった時期に改めて確認させていただければと思います。
大野病院の再開によって個人的に懸念されることとして、医師やコメディカルなどの医療人材の確保については、新たな病院が比較的近い市外に開設されるわけですから、ただでさえ限られた医療人材が市内から流出してしまうのではないかというようなことが挙げられます。
一方で、中核的な病院が近隣の自治体に整備されることは、連携のしやすさという面ではプラスに働くのではないかと感じております。
いずれにせよ、病院間の連携強化を行政として支援していくことは、救急医療体制の強化を推し進めるにあたって、非常に重要であると考えます。
【2⑵イ】
そこで次に、二つ目として、今後、救急医療体制の強化にあたって、病院間の連携強化の取組みをどのように進めていくのかについて伺います。
(市答弁)
【答弁者:保健福祉部長】
救急医療体制を推進するためには、病院間の連携が重要であると認識しています。このことから、市では、救急告示病院などが、休日及び夜間の二次救急医療を確保するために、救急搬送患者を当番制で受け入れる「病院群輪番制」を運営する市病院協議会に対し、補助金を交付しています。また、今年度からは、救急告示病院の救急搬送患者受入体制の強化に資するため、平日昼間の救急搬送患者の受入実績に応じて補助金を交付する「救急患者受入強化支援事業」を創設したところです。今後は、これらの事業の効果を検証しつつ、市病院協議会との連携を密にしながら、病院間の連携推進に取り組んで参ります。
これまでは市内の病院間の連携が主眼であったかと思いますが、大野病院という新たな要因が出現しようとしている今となっては、市外の医療機関との連携についても視野に入れていく必要があると考えます。
こうした状況を踏まえ、大野病院につきましては、今後ともその動向を注視していただければと思います。
同病院の再開は、双葉郡にとっても大きなプラスとなる出来事でありますから、本市と双葉郡の双方にとって利益となるような連携体制を築いていただくことを要望いたしまして、次の中項目に移ります。
【2⑶】
中項目の三つ目は、福島労災病院についてです。
福島労災病院は、市医療センターからほど近い場所に位置していますが、数年前にはその移転計画が持ち上がっておりました。
この議場においても、同病院の移転計画についてはこれまで何度か取り上げられており、議事録を見る限り、最後に取り上げられたのは令和3年2月定例会における代表質問でした。
なぜ運営主体ではない市が同病院の移転計画について議場で議論しなければならないのかといえば、市と当時のいわき明星大学、現在の医療創生大学ですが、そして福島労災病院の三者で、移転に関する基本合意書が平成29年度に締結されたという経緯があったためです。
市が関わった背景には、移転候補地であった中央台における土地の問題も関係していると聞き及んでおります。
議場で最後に取り上げられてから約4年半が経過し、状況も大きく変化していることが想定されますから、ここまで病院の話に多く触れてきたこともありますので、改めてこのテーマを取り上げたいと思います。
【2⑶ア】
そこでまず初めに、一つ目として、平成29年度に結ばれた福島労災病院の移転に関する基本合意書の概要について伺います。
(市答弁)
【答弁者:保健福祉部長】
平成29年5月に、「福島労災病院の移転に関する基本合意書」を、同病院、旧いわき明星大学、本市の三者で取り交わしました。この中で、大学が所有する土地への移転の実現に向け、三者が連携・協力して取り組むことや、移転先の土地と、現在の病院の土地を交換することなどを確認しました。その後、同年8月に、「福島労災病院の移転に関する確認書」を取り交わし、土地の測量、境界画定及び不動産鑑定に係る費用負担などを取り決めました。しかし、令和5年8月、福島労災病院から、移転予定地の安全性等を理由として、基本合意書等の撤回を求める申し出があり、同年12月に基本合意書等の撤回に係る確認書を三者で取り交わしました。これにより、現在、本市は福島労災病院の建替えに関与しておりませんが、福島労災病院の現地建替計画の進捗については、病院から適時情報提供いただいているところです。
中央台への移転計画については結局白紙となり、現在地での建替えという方針になったことは、報道などを通して私も承知しているところであります。
現在地における建替えとなったことによる本市医療提供体制への影響としては、表面上はこれまでと同様の状況となるわけですから、影響は何ら生じないというような捉え方もできます。
しかしながら、福島労災病院は市医療センターからほど近い場所に位置しているわけでして、医療圏における医療機関の適正配置という観点からも中央台への移転計画が持ち上がったという背景もあるようですので、一見すると表面上は何も変わらなくとも、実際のところは本市の医療提供体制へ中長期的な影響があったのではないかとの捉え方もできます。
こうした地域間における医療資源の不均衡が、四倉・久之浜地区における医療ニーズのような形として顕在化しているように感じますが、福島労災病院が現在地での建替えという方針を示した以上、こればかりは市としてはどうにもしようがないことは理解できますので、今後少なくとも市として取り組めることとすれば、これからも引き続き同病院と連携した上で、地域医療の推進に努めていくことであるかと思います。
【2⑶イ】
そこで最後に、二つ目として、福島労災病院と連携した地域医療の推進に係る取組みについて伺います。
(市答弁)
【答弁者:保健福祉部長】
福島労災病院と連携した取組みとしましては、福島労災病院を研究拠点とした東京医科大学への寄附講座「運動機能再建外科学いわき地域教育寄附講座」の設置があります。当該寄附講座は、整形外科分野における医師を確保して更なる二次救急診療体制の強化を図るとともに、総合的な診療能力を有する医師の育成・支援や救急医療体制の構築に関する研究棟をとおして、地域の医療の質の向上に寄与することを目的としています。現在、当該寄附講座の設置により、福島労災病院に常勤医師3名が派遣されています。このほか、初期臨床研修医を受け入れている福島労災病院を含む市内3病院合同による初期臨床研修医の勉強会等の開催や、医学生を対象とした全国の研修病院合同説明会への参加を支援しています。また、本市が医学生を対象に実施している地域医療セミナーにおいて、福島労災病院をはじめとする市内の医療機関等に病院見学等の御協力をいただいています。
今後も福島労災病院をはじめ、各医療機関と緊密に連携した上で地域医療の充実を図っていただければと思います。
医療というのは、行政だけでは解決し得ない課題であります。
行政の担える範囲には限りがあり、その外側において可能なことといえば、民間などの多様な主体を支援することに留まる部分が多いのが実情であります。
しかしながら、いわきFC新スタジアム構想を巡る、昨今の市の関与のあり方を拝見しておりますと、民設民営を掲げる事業であっても、行政としてここまで積極的に関与し得るのかと、私自身大いに学ぶところがありました。
その支援の方法論は、医療をはじめとする他の分野にも応用し得る可能性があるものと感じております。
民間主体に対する行政の支援の形が、これほどまでに多様化している現状を踏まえ、スタジアム事業に限らず、医療という市民の関心が極めて高い重要な分野におきましても、関係機関との連携を一層深めながら取組みを進めていただきたいと要望を申し上げまして、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。